本当の愛情というのは、もしもいつか離れ離れになってしまったとしても、その後、自分がいなくてもその人が生きていけるようにすることだと誰かが言っていた。
親の子に対する愛に近いのかもしれない。
子どものいない私には自信を持って言えないけれど。
今まで、人生の一部を一緒に過ごした人のことを思い返してみる。
色々な形があったようにも思うし、ほとんど同じだったようにも思う。
けれど、やはり最も印象に残っているのは「資格の勉強より、もっと健康に気を使って体力つけようよ」だとか「いつも笑顔でいた方がいいよ」だとか、その時の私に足りないものをアドバイスしてくれた人だった。
そのおかげで、私は一人でも生きていけるようになった。
今はただ、生きているだけだれど。
もしもあの人と一緒にいることが無かったら、私は今も、誰かと寄り添って生きていたと思う、間違いなく。そう考えたら、一人でいることが寂しいだとか誰かに愛されたいだとかあまり思わなくなったことを、今日、彼と別れてから初めて、心の底から恨んでしまった。
誰でもいいから一緒にいたい、誰でも良いから愛されたいだなんて思えない。
あくまで私の価値観の中で、くだらないと思う人と過ごすくらいなら、一人でいた方がマシ。
けれどいつかまた、同じ人生を生きていると思える人と生きていけたらいいなと久方ぶりに思ったら、長い長い時間、抑圧していたかもしれない感情がどっと押し寄せてきて、苦しくなった。